東洋医学概論・東洋医学臨床論


* 【覚えよう!】刺法


● 九刺

〜九変に応ずる刺法〜
九鍼のうちの幾種類かを用いる九種の刺法。


語呂球史に残る遠藤氏、有志退社分ラッキ(ケ)ィーもう最高!
      [九刺、(に残る)、遠道刺、輸刺、大瀉刺、分刺、絡刺、経刺、毛刺、焠刺、巨刺]


名前名前の由来方法
1遠道刺 病所より遠く離れた下肢に刺すので遠道刺。 病が上にあるとき、毫鍼[ごうしん]で膝の周囲やその下にある穴(主として下合穴)を刺す。
誘導法に相当する。
2輸刺 輸穴を刺すので輸刺。 五臓の病のとき、毫鍼[ごうしん]員鍼[えんしん]鍉鍼[ていしん] などで手足の末端近くの輸穴(滎・兪・原穴)を刺す。
3大瀉刺 大いに膿血を瀉すので大瀉刺。 大膿を鈹鍼[はしん] で瀉す。
4分刺 分肉に刺すので分刺。 毫鍼[ごうしん]員鍼[えんしん]で分肉の間を刺す。
5絡刺 絡脈に刺すので絡刺(刺絡)。 絡脈が病んだとき、毫鍼[ごうしん]三稜鍼[さんりょうしん]で血絡を浅く刺して瀉す。
6経刺 経脈に刺すので経刺。 経脈が病んだとき、毫鍼[ごうしん]で経脈上の反応(結絡・経分)にやや深く刺す。
7毛刺 皮毛に刺すので毛刺。 皮膚の浮痹(表在性の知覚異常や神経痛)のとき、鑱鍼[ざんしん]毫鍼[ごうしん]で皮膚のごく浅いところを刺す。
8焠刺[さいし] [さい]は焼き鍼のこと。 燔鍼[はんしん](=焼き鍼のこと、大鍼を熱したもの)で、痹とくに筋痹のとき、圧痛点を治療点として刺す。
9巨刺[こし] 巨はモノサシ、サシガネのことで、全体(左右)のバランス調整の意。 経脈が病んでいるとき、左側に症状があれば右側を、右側に症状があれば左側を指す。上記の経刺を行う。




● 十二刺

〜十二経に応ずる刺法〜
主に毫鍼[ごうしん]を用いる十二種の刺法。


語呂@一二の三四で某負担優遇介抱要請に一直進。
      [十二刺、(の)、贊刺[さんし]、(で)、傍鍼刺、浮刺、短刺、輸刺、偶刺、恢刺[かいし]、報刺、揚刺、斉刺[せいし]、陰刺、直鍼刺]

語呂A骨短くて筋痒ぃ〜、でも心はグー。
      [骨痹、短刺、(くて)、筋痹、恢刺[かいし]、(でも)、心痹、偶刺]


名前名前の由来方法
1贊刺[さんし] [さん]は助けるの意。
[よう]腫(できもの、はれもの)をしぼませて助ける。
[よう]腫のとき、毫鍼[ごうしん]鋒鍼[ほうしん]で何度も繰り返し浅く刺し出血させる。
2傍鍼刺 経過が長く同じ部位の痹のとき、痛みの中心に一鍼、そのすぐ傍らに一鍼刺す。
3浮刺 肌肉がひきつって冷えるとき、その傍らに斜めに刺してこれを浮かすようにする。
4短刺 短は急迫の意で、頻々と揺すり、かつ骨に迫るので短刺という。 骨痹のとき、鍼をゆすりながら深く刺して骨に至らせ、鍼で骨を上下にこするようにする。
5輸刺 輸は輸送の意で、深部の熱を外に運ぶので輸刺。 気の働きが盛んで熱のあるとき、真っ直ぐに深く刺し真っ直ぐに抜いて熱を瀉す。
取穴は少なくする。
6偶刺 前後で二本(偶数)なので偶刺。 心痹のとき、背部と胸部の圧痛・反応点を探り、前後から一鍼ずつ刺す。
※これが前後配穴、兪募配穴へと発展した。
7恢刺[かいし] [かい]は大きい、緩いの意。 筋痹で筋がひきつるとき、筋に真っ直ぐ刺入し、のち鍼を左右前後に方向を変えたり揺り動かしたりして筋を緩める。
8報刺 報は繰り返す意。 痛むところがあちこち動いて定まらないとき、痛むところを手で追いかけて次々と繰り返し刺す。
痛むところを追う際、刺した鍼は抜かずにそのままとする。
9揚刺 寒気を浮揚させるので揚刺。 寒気の範囲が博く大きいとき、その中心に一鍼刺し、四隅から中心に向かって水平に近い角度でこの寒気を浮かすように刺す。
10斉刺[せいし] 斉は等しく揃うの意。一直線に鍼が揃うので斉刺という。
三本刺すので三刺ともいう。
寒気の範囲が狭く深部にあるとき、その中心に一鍼、すぐ両側にそれぞれ一鍼ずつ一直線に並ぶように刺す。
11陰刺 陰証に刺すので陰刺。 寒厥(足先から冷感が膝や腰まで上り、容易に下痢をする)のとき、左右の内果の後ろの穴(太渓)に同時に刺入する。
寒厥は、陰陽では陰証の代表的症候を呈するもの。
12直鍼刺 直ちに刺すので直鍼刺。 寒気の浅いとき、皮膚をつまんで引っ張りこれを刺す。




● 五刺

〜五臓に応ずる刺法〜
五臓(肝、心、脾、肺、腎)に関する部位・病証に適応する五種の刺法。五行説による人体認識に基づいている。
主として毫鍼[ごうしん]を用いる。


語呂五目カンピョウご飯ってゆ〜し。
      [五刺、(目)、関刺、豹文[ひょうもん]刺、合谷刺、半刺、(って)、輸刺]


名前刺す
対象
名前の由来方法
1関刺 関節部に刺すので関刺。 筋痹のとき、出血しないように慎重に関節部の筋に深く刺して緩め、痛みを取る。
2豹文[ひょうもん] 血脈 出血の様が豹の毛皮の紋のようなので、豹文刺。 浅く沢山刺して脈にあて、血をにじませて経絡の血の滞りを取る。
3合谷刺 肌肉 使用する3本の鍼が谷間の深いところのようなので、合谷刺。 肌肉の痹のとき、皮下の肉に鶏の足のように3本の鍼を開いて斜めに刺す。
4半刺 皮膚 刺したかどうか分からないくらい浅く刺すので、半刺。 毛を抜くように肉を傷つけずに極めて浅く素早く鍼を刺し、素早く抜いて皮気(皮膚表面の症状)を取る。
5輸刺 輸は至るという意味で、深く骨に至るので輸刺。 骨痹のとき、真っ直ぐに深く刺して骨に至らせ、真っ直ぐに抜く。




● 三刺

陰陽の邪気を出し、水穀の気の循りをよくする方法で、浅いところから深いところまで三度刺すもの。


方法
一刺目 浅く皮を絶ち、陽邪を出し、血気を将来する。
二刺目 少し深く刺して肌肉に到らせ、陰邪を出す。
三刺目 更に深く分肉の間に入れて、穀気を将来する。



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