40〜60歳代にかけて発来する、肩関節の痛みと関節拘縮を主な徴候とする症候群。
【症状】:
* 肩周囲の疼痛と、運動制限。(特に「帯を結ぶ」外転+内旋、「髪を結う」外転+外旋などの動作で著しい)
* 肩甲上腕リズムの異常。
* 発症の比較的早期の段階においても拘縮を認める。
* 疼痛は寒冷によって増悪、夜間に強くなる傾向。
【年齢】: 40〜60歳代。50歳代に多い。次いで60代、40代と続く。
【性別】: 男女差なし。
【成因】: はっきりした原因は不明。
肩関節周囲軟部組織の加齢による退行変性を基盤に炎症性病変を生じる。
やがて肩峰下滑液包や関節包の癒着が起こり関節腔が狭くなり、肩の動きが妨げられる。
さらに進行すると、肩関節周囲の組織全体に廃用性の筋萎縮・拘縮が起こり、肩の動きに障害をきたす。
【治療】:
保存的治療法が基本。
* 急性期・・・・傷害組織の消炎、鎮痛がメイン。肩甲上神経ブロック注射。
* 慢性期・・・・拘縮の進行を防ぐ為に循環改善をはかり(固定するのは×)、積極的に運動療法を行う。低周波通電。
(あ第14回-83) デゾー包帯は鎖骨骨折などに用いられる固定包帯法。
《リハビリテーション》
* 温熱療法・・・・ホットパック、極超短波。
* 運動療法〔可動域の拡大〕
@ 滑車運動
A コッドマン体操(アイロン体操)・・・・前屈位で片手に1Kg程度の重りを持ち、前後、左右また円を描くように揺らす。
【予後】: おおむね良好。1年〜1年半で日常生活に支障がなくなることが多い。
【処方経穴例】: 肩髃、肩髎、巨骨、肩貞、臂臑、臑兪、秉風、天宗
テスト名 | 方法 | 陽性 | 疾患名 | 出題された 経絡・経穴等 |
---|---|---|---|---|
ヤーガソンテスト |
患者に肘を90°屈曲させ、検者が肘を保持し、患者の前腕を回内位に保つ。検者の力に対向して前腕を回外させる。 |
肩関節前面(上腕骨結節間溝)に痛み。 |
* 上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎 | |
ストレッチテスト (上腕二頭筋長頭腱伸展テスト) |
検者が患者の肘を持ち、肘関節伸展で上肢を後方に挙上させる。 |
肩関節前面(上腕骨結節間溝)に痛み。 |
* 上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎 | |
スピードテスト |
患者は座位。前腕を回外させ、検者は前腕に肘関節伸展方向に抵抗を加え、患者に肘関節屈曲もしくは肩関節屈曲をさせる。 |
肩関節前面(上腕骨結節間溝)に痛み。 |
*上腕二頭筋長頭腱炎 *上腕二頭筋長頭腱の不安定 |
* 天府 |
ダウバーン徴候 | 患者の肩関節を他動的に90°外転する。 | 肩峰下部の圧痛が消失する。 |
* 三角筋下滑液包炎 * 肩回旋筋腱板損傷 |
|
ペインフルアーク徴候 (有痛弧徴候) |
肩関節を外転(側方挙上)させる。 |
外転60°〜120°で疼痛を感じ、さらに外転すれば痛みはなくなるが、外転120°〜60°の範囲でふたたび疼痛を訴える。 |
* 腱板損傷 (特に棘上筋) |
* 肩髃 |
ドロップアームサイン |
肩関節を外転させた後、患者にゆっくり腕を下ろすよう指示する。 |
・腕が約90°外転位から体側へ急に落下する場合。 |
* 腱板断裂 (特に棘上筋) |
|
インピンジメント徴候 | 背後から患側の肩甲骨を固定し、肩甲上腕関節のみで前方屈曲(肩を挙上)させる。 |
肩峰の前縁と肩峰下面前方1/3、烏口肩峰靭帯などに対して大結節、棘上筋腱、上腕二頭筋長頭腱が衝突し、疼痛が起こる。 |
* 肩腱板損傷 * 肩峰下滑液包炎 |
* 肩髃 |
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