臨床医学総論


* 【まとめ!】異常歩行



跛行とは----疾患により、片足を引きずるなど正常な歩行が出来ない状態のことです。




異常歩行一覧表



大別歩行原因疾患名歩き方の特徴
突進歩行 *小刻み歩行
*すくみ足歩行
*パーキンソン病 前かがみ。
背中を軽く突く→重心が前に移動→加速歩行で前方突進。

普段は、前屈しちょこちょこと小刻みに歩くのが特徴。

《語呂》:パーキンソンのトシちゃん、すぐキザで困った。
(パーキンソン病、突進、すくみ足、小刻み、小股で歩く)
痙性
片麻痺歩行
*分回し歩行
*草刈歩行
*脳血管障害-片麻痺
(上位運動ニューロン障害)
麻痺した側の下肢は硬直してぎこちなく動き、下肢を上げるときには股関節を中心として外側に半円を描くように外転・ぶん回し運動する。

接地:足先の外側から始まり、患肢の立脚相は短い。

《語呂》:K製草刈が、固まったから分回し。
      (痙性、草刈歩行、片麻痺、分回し歩行)
痙性
対麻痺歩行
*はさみ脚歩行 *脳血管障害-両側錐体路障害
(脳性小児麻痺で過去出題あり)
両膝が重なり合うようにして歩き、両足が内側に向いた足尖を交互に左右させながら、はさみの動きに似た爪先歩行を行う。
(内半尖足)

《語呂》:形勢ついに衰退のせいは淋しいし。
      (痙性、対麻痺、錐体路、脳性、はさみ脚歩行)
失調性歩行 *踵打ち歩行 *脊髄後根・後索障害
(深部知覚障害)
大きく両下肢を開き、1歩ごとに足を高く上げて眼で足元を確かめながら足を運ぶ。
踵が足先よりも先に降りる。

《語呂》:室長の両足広げたカカァと[うち]行進部。
      (失調、両下肢を開く、踵打ち、後、深部知覚)
*酩酊歩行
*よろめき歩行
*小脳障害 ”千鳥足”のように、頭部や体幹が動揺し、しばしば患側へよろめく。
眼を開閉させても変化はない。

《語呂》:失調症のぅ酔っ払い。
      (失調、小脳、酩酊・よろめき)
鶏歩 *腓骨神経麻痺
(下位運動ニューロン障害)
尖足。足を高く上げて足先を引きずるように歩行する。

痛みを伴わない。

《語呂》:鶏痒ぃくてヒ〜、コツコツ。
      (鶏、下位運動ニューロン、腓骨)
動揺性歩行 *アヒル歩行 *進行性筋ジストロフィー
*多発筋炎
*近位型脊髄性筋萎縮症
*先天性股関節脱臼
下肢帯の筋力が低下した場合に見られる。
下肢を交互に骨盤ごと持ち上げ、上体を支持足側に大きく傾け左右に揺すりながら歩く。
腹を突き出し、上体を後方にのけ反らした腰椎前彎姿勢をとる。

《語呂》:金のトロフィー持ったアヒルどうよぅ。
      (筋ジストロフィー、アヒル歩行、動揺性)
ヒステリー
歩行
*ヒステリー患者 いかにも誇張的。
歩行の仕方はその時々で変化し、他人が見ていないところでは正常に歩いたりする。
間欠性跛行 *脊柱管狭窄症
*下肢の動脈硬化症
歩行中に下肢の痛みと疲労感で歩行できなくなるが、しばらく安静にしていると、また歩行できるようになる。

《語呂》:今日さ〜、簡潔にどうにかこうにかしよう。
      (狭窄症、間欠性、動脈硬化症)
トレンデレン
ブルグ歩行
*墜落跛行
*デュシェンヌ跛行
*先天性股関節脱臼
*変形性股関節症
股関節外転筋(小殿筋・中殿筋)の筋力低下→股関節不安定。
患側下肢で起立した際に健側骨盤が下がり、身体の重心のバランスをとるために患側の肩を低下させながら歩行する。

※3cm異常の脚長差がある場合、墜落跛行を呈する。 (脚長差が3cm以内であれば、異常は目立たない)

《語呂》:しょっちゅう股関節が取れんでれんぶるぐ。
      (小・中殿筋、股関節、トレンデレンブルグ)
大殿筋歩行 *大殿筋麻痺 立脚相に重心線が股関節の後方を通るように、体幹と骨盤を後方に引いた歩行となる。
疼痛性跛行
(逃避跛行)
*下肢に疼痛がある場合
*変形性股関節症
罹患側の下肢は注意深く地面につき、接地時間を短くして健側の下肢をすばやく前に出して歩行する。
随意性跛行 *股関節結核の患児 周囲の人が注意すると正常に歩行するが、しばらくすると再び跛行が現れる。

《語呂》:随意、股とケツかく患児。
      (随意性・股関節結核患児)



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