病理学概論


* 【まとめ!】炎症



炎症の5大徴候


@ 発赤   A 発熱   B 疼痛   C 腫脹   D 機能障害
【語呂】:関根の盗聴、機能障害。
[赤、熱(の)疼、張、機能障害。]






炎症の分類


急性
慢性
分類特徴・主な疾患
急性 変質性炎(実質性炎)

炎症の起点となる組織障害。実質臓器にみられることが多いので、実質性炎ともいわれる。


* 劇症肝炎
滲出性炎 漿液性炎

炎症性滲出物が線維素成分をほとんど含まないもの。結合組織の中にこの滲出が起きると、炎症性浮腫となる。


* まめ
* じんま疹
* 火傷
* カタル性鼻炎、カタル性胃腸炎(暴飲暴食等が原因)
線維素性炎

滲出物中に大量のフィブリノゲンが含まれていて、局所でフィブリン(線維素)が多量に析出する炎症。


《偽膜性炎》─粘膜の上に膜様物を形成する炎症。

* 上気道ジフテリア、偽膜性咽頭炎・・・・・・・ジフテリア菌感染。
* 偽膜性大腸炎・・・・・・・クロストリジウム・ディフィシル菌感染。

* 大葉性肺炎・・・・・・・肺炎双球菌感染。
化膿性炎

細菌感染による炎症で、滲出物(膿)に大量の好中球を含む。


● 膿瘍

皮下、肺、肝臓、腎臓、脳などにおこる。
皮膚や口腔粘膜などの比較的表層に限局した膿瘍は「膿疱」という。
* 面疔
* 淋病
* 扁桃炎・・・・溶連菌によってリウマチ熱などを引き起こす。
※ リウマチ熱→関節リウマチと別の病気。アショフ小体という炎症病変がみられる。


● 蜂巣炎(蜂窩織炎)

組織内に多数の好中球が散在して浸潤し、細胞間物質を広汎に融解しながら進行する。
連鎖球菌やブドウ球菌を原因とした皮膚感染症。
* 急性虫垂炎
* ひょう疽


● 蓄膿

身体にある腔所に膿の溜まっている状態。
* 蓄膿症(副鼻腔炎)
* 膿性カタル
* 歯槽膿漏

出血性炎

滲出物中に多量の赤血球を含むもの。


* インフルエンザ肺炎
* 劇症肝炎
腐敗性炎
(壊疽・壊死性炎)

滲出物中に腐敗菌の混合感染が起きた場合で、悪臭のある汚い灰白ないし緑黒色の壊死組織がつくられる。


* 肺壊疽
* 壊疽性子宮内膜炎
慢性 増殖性炎

マクロファージ・リンパ球・形質細胞を主体とする炎症細胞浸潤と、線維芽細胞の増殖による線維増生、血管の新生からなる炎症。


* 肝硬変
* 関節リウマチ
* アスベストーシス(肺線維症)
特異性炎
[一種の肉芽腫性炎]
* 結核症

・飛沫から空気感染する。
・感染しても全ての人が発病するわけではない。
・初感染後、ツベルクリン反応が陽転する。

・結核菌に対する免疫反応はTリンパ球が主体である。
・結核菌はマクロファージ内でも分裂増殖する。


結核結節といわれる肉芽腫を形成する。

《結核結節の構造》
中心から、
@ 乾酪壊死巣
A 類上皮細胞(マクロファージ → 一部がラングハンス巨細胞)
B リンパ球・線維芽細胞


* 粟粒結核症・・・・結核菌が血液によって運ばれ(血行性播種)、いろいろな臓器に粟粒大の結核結節が多数形成された病態。
(幼児や免疫不全などがある人に多くみられる)


* 骨結核・・・・代表的なものは「脊椎炎(脊椎カリエス)」。骨組織が壊死に陥り、発熱・熱感を伴わない冷膿瘍(寒性膿瘍)をつくる。



* 梅毒

[第1期]:初期硬結がおこる。
[第2期]:皮膚にいろいろな形の梅毒疹(バラ疹など)をつくる。
[第3期]:ゴム腫およびびまん性間質性増殖性炎の形をとる。
[第4期]:



* ハンセン病(癩)

癩結節────癩菌を貪食したマクロファージを中心にした集団とリンパ球・形質細胞からなる。



* 野兎病
* ネコひっかき病
* サルコイドーシス
* 腸チフス
* 真菌症(カンジタ症、クリプトコッカス症など)




【特異性炎の語呂】
肉が得意な結果、バイトのハンセン氏、兎・猫・猿から超親近感。
[肉芽、特異(な)結核、梅毒(の)ハンセン氏、兎、猫、サル(から)、腸真菌(感)。]


《非特異性腸疾患》

* クローン病・・・・肉芽腫性炎に属する。小腸・大腸だけでなく、全ての消化管に病変が生じえる。
* 潰瘍性大腸炎・・・・主に大腸粘膜に潰瘍やびらんができる。


* (はき第4回-53出題) リード・ステルンベルグ巨細胞・・・・・・・・ホジキンリンパ腫でみられる。





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